谷 正和

2021.5.7

以下は未来構想デザインコース学生によるインタビューです。
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研究内容について教えてください

僕の専門は文化人類学で、南アジアの環境問題を社会的に分析しています。南アジアには、地下水がヒ素で汚染されるという問題があって、それを長いこと飲むと慢性ヒ素中毒になるんです。ヒ素は自然由来なので、地上に住んでいる人が金持ちだろうが貧しかろうが、被害は平等に出そうなものですが、調べてみると、明らかに貧しい人に被害が多いんですよね。原因としてはおそらく、貧しい人たちの、肉を食べる機会が少ないことによる生体防御機能の低下や、カースト制度の差別による精神的な弱体化が関わっているのではないかと思っています。環境問題は自然現象なので誰に対しても平等なはずですが、実際そうではなかった、ということですね。最近は、ヒ素汚染問題のほかにも、森林破壊など、環境破壊を起こす人たちの調査や、国内の限界集落の研究などもしています。

谷先生の考える「未来構想デザイン」とはなんですか

芸術工学部のデザインってもともと「もの」のデザインなんですよね。でも、デザインした物理的なものをどう使うか、ものを媒介にしてどういうサービスを届けるか、ものを必要とする人にどう届けるか、という話は、元々のデザインの中にはなく、ものをどういうサービスに繋げるか、という話がここ10年くらいの課題になっていました。もう一歩行くと、ものを作ってサービスを届けると、僕らが生きていく社会はどういったものが作れるかということも考えなければいけません。例えば、身体に障害がある人が、よりそうでない人と同じように社会に参画できるようになれば、社会って変わってくるじゃないですか。そういう、「社会全体のビジョンを考えられるデザイナー」へのニーズを受けて作られたのが未来構想デザインコースだと思っています。

未来構想デザインコースの学生へメッセージ

これはざっくり若い人たちへのメッセージなのですが、外国語を1つ覚えるといいな、と思います。言語って世界なんですよね。喋る言語が1つ増えたら、それは世界が1個増えるのとほぼ同じだと思います。学ぶのに速い遅いはあるんだけど、自転車と同じで一回使えるようになったら何年経っても忘れないんですよね、多少錆びつくところはあっても。役に立つかはわからないけどやっていて面白い。皆さんの年齢だったら、あと2つや3つはいけると思います(笑)。コミュニケーションは気合です。ぜひ外国語を学んでみてください。

インタビュー・編集:阿南修平、中山弘一、山領早穂(未来構想デザインコース学生)