平松 千尋

2021.5.7

以下は未来構想デザインコース学生によるインタビューです。
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平松先生の研究内容を教えてください

色覚の多様性をテーマにしています。他人から見た世界はどんな色に見えるかは、誰にもわかりません。人は、他者も自分と同じように見ているだろうと考えがちですが、18世紀頃からそうではないことがわかってきています。例えば、ジョン・ドルトン(John Dalton)は自分の見え方が他の人と違うことに興味を持ち、色覚の個人差について研究しました。その後、科学の発展と共に、色覚のメカニズムが理解されていきます。ヒトの一般的な色覚(3色覚)は、連続した光波長を3つのチャンネルで捉えることで始まりますが、一つか二つのチャネルで世界を見ている人もいます。そのような色覚は、色覚異常と呼ばれることもあります。人々は、多数派の性質を正常、少数派の性質を異常と分類しがちですが、それによって少数派の性質を持つ人にとって障壁が生じることがあります。色覚の個人差を詳しく調べていけば、肌の色の個人差が連続的であるように、色覚も連続的に多様であることがわかってきています。遺伝子だけでなく、脳の発達などのいろいろな要因の影響をうけ、見え方が人によって違います。

2015年にSNSで話題になったThe Dressの写真はその一例です。

一つのドレスの写真をめぐって、これが白と金に見えるか、青と黒に見えるかということが論争になりました。人は、おそらく遺伝とは関係なく、無意識的に環境の光の影響を補正して物体の色を推定しますが、その結果、人によって異なる知覚が生まれることは大変興味深いです。

平松先生から見る未来構想デザインコースとは

新しく作られたコースです。できた経緯がいろいろあって、たくさんの人の想いが入っています。前例を引き継ぐだけではなく、この時代に合った、これまでできていないことを始めています。教員と学生が活発にいろいろなことにチャレンジして、何か新しいことをしようという想いがあるコースなので、新しいことをやりたい人にはおすすめしたいです。

未来構想デザインコースを志望する人へのメッセージ

100年後の未来は変わると思いますか? 自分がいることによって、物事の関係性を変えられます。このことを考えるのが未来構想デザインコースかなと思っています。専門的な知識をいろいろ学んで、結びつけて欲しいです。そうすると何か見えて来て、未来に影響を及ぼすかもしれません。未来を予想する手法として最近データ解析(ビッグデータ)という言葉がよく聞かれます。数字で未来はある程度予測できるでしょう。ですが、想像通りの未来はたぶん来ません。もしも、自分が何か影響を及ぼすことができたら、理想的な未来に近づけられるかもしれません。

インタビュー・編集:山田悠介、金依寧、村本りずむ(未来構想デザインコース学生)